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今では『日本の国花』といわれる美しい白色や淡桃色の五花弁の桜は
古代からに日本人に愛され、奈良時代には庭に植えられ始めたといわれます。
>桜の名所


◆ お花見の歴史

平安時代〜鎌倉時代
平安時代になると、貴族達の間で桜を邸内に植えるのが流行りはじめ、その代表が有名な『左近の桜』といわれています。当時は柳の木と混ぜて植えるのが好まれ、白と緑の色鮮やかさが楽しまれました。その後、桜を庭樹にする事はますます盛んになり、鎌倉時代には後嵯峨上皇が桂離宮亀山殿の背後にあたる嵐山に、吉野の山桜を多数移植して花見を楽しまれた事が有名です。

室町時代〜安土桃山時代
室町時代に入ると、世に『花の御所』と呼ばれる多くの花木を植えた室町殿が足利氏の手により完成し、この頃より春の桜狩りは、秋の紅葉狩りと並ぶ日本独特の行楽行事となり、足利義政などが京都東山や大原野(旧長岡京近く)に豪華な花見を行うようになります。そして、動乱の戦国時代を経て、安土・桃山時代に 豊臣秀吉が大規模な『醍醐の花見』を行った事は、あまりにも有名です。

江戸時代〜近年
江戸時代に入ると、一般庶民の間にも花見が盛んになり、多くの名所が誕生しました。なかでも御室(仁和寺で有名)や嵐山、東山方面に多くの人々が花見に出かけて行きました。そしてこれらの名所は、今なお多くの人々に愛されています。また近年に入ると京都の都市整備が進み、多くの桜が洛中洛外に移植され、まさしく京都は『花の都』となってゆきました。

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◆ 桜の種類

桜 〜バラ科サクラ属〜
桜とは、元来、山野に自生する山桜を表していましたが、現在では『染井吉野』『彼岸桜』『里桜』等々、十数種類を総称して桜と呼ばれています。古くから桜を愛した京都では、百種類以上の栽培種(その代表が『円山公園の枝垂れ桜』です)が作られており、一番多く見られるのは自然種の雑種と考えられているソメイヨシノとなっております。

自然種
山桜やまざくら/一重(ひとえ)の花と若葉とが同時に萌え出ます。大木になりやすく、寿命も長い。亜種にカスミザクラがあり、花の咲く時期がヤマザクラより少し遅く、葉などに毛が多く生えているところが違います。古来、桜といえば、この山桜の事をいいました。
染井吉野そめいよしの/自然種のオオシマザクラとエドヒカンとの雑種。丈夫で成長が早く、日本の桜の代表です。ただし寿命が短く、老木が見られないのが残念。
近畿豆桜きんきまめざくら/近畿地方北部の山の中だけに分布し、木も花も小さい。暑さに弱く京都の街の中には見られませんが、鞍馬山の奥に咲いています。

栽培種
枝垂れ桜しだれざくら/エドヒカンを品種改良した栽培種。円山公園の枝垂れ桜が有名で、京都一の名桜です。
御車返しみくるまがえし/一樹の中に八重と一重が咲き乱れ、どの枝に八重や一重が咲くかも毎年変わります。
有明ありあけ/オオシマザクラ系サトザクラ。『御室桜』が有名で、直径4〜5センチ、花弁数5〜13枚で白もしくは淡紅色。八重と一重があります。樹高が低く、根元から分れた低い枝に花が咲くのが特徴です。
待賢門院桜たいけんもんいんざくら/法金剛院に古くから伝わる名桜。ヒガンザクラ系ベニシダレザクラの変種で、花の色が紫に見えるところから『紫の桜』とも呼ばれています。
朱雀すじゃく/オオシマザクラ系サトザクラ。花径4〜4.5センチ、花弁数8〜15枚で淡紅色の花が俯きかげんに咲きます。また若葉は少し茶色がかっています。
二尊院普賢象にそいんふげんぞう/千本閻魔堂と並ぶ普賢象の名桜。こちらの普賢象桜は花弁数が実に200枚を越えます。花径5センチ、中心の濃い紅色から周辺部の淡い紅色へと変わる優美な花で、若葉は青茶色をしています。
糸括りいとくくり/オオシマザクラ系サトザクラ。茶緑の小さめの若葉とともに淡紅白色の花が咲きます。花径4センチ、花弁数は5〜10枚で、長い枝の先端に束ねたように花がつくのでこの名前が付けられました。京都府立植物園で見られます。
雨宿あまやどり/花径4センチで半八重の花が俯きかげんに咲きます。品種はオオシマザクラ系サトザクラで、豊満な花房がつきます。京都府立植物園で見られます。
御衣黄ぎょいこう/平野神社に伝わる超珍種。茶緑色の若葉に淡緑に花が咲きます。花弁数は12〜13枚で花期の終わりに中心部が赤く色づきます。緑の花を見落としそうですが、気がつけばその不思議さにひきこまれます。
虎尾とらのお/京都で古くから育てられているサトザクラ。幹から横方向に伸びた枝から直立した細い枝が伸びて、そこに花が咲きます。その様子から『虎の尾』の名前がつきました。花柄の短い八重の白い花が連なって咲きます。平野神社で見られます。
衣笠きぬがさ/カスミザクラ系サトザクラ。平野神社だけの品種で、他の平野神社の桜と違い晩春に咲きます。花径4センチ、花弁数5、10枚、若葉は緑褐色をしています。
突羽根桜つくばねざくら/こちらも平野神社に古くから伝わる名桜。紅色の花が菊咲きします。花径は4センチ、250枚もの花弁が2段に分れて重なりあいます。

※サトザクラ‥園芸品種(栽培種)の総称
※オオシマザクラ‥サトザクラの親となった木。名前のとおり伊豆大島から伊豆諸島に自生しています。5枚の白い花弁に鮮やかな緑の若葉がつき鴨川上流で多く見られます。桜餅を包む葉は、このオオシマザクラの葉を塩漬けにしたものです。

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