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京都の県花、県木は『枝垂れ桜(シダレザクラ)』です。古都京都は洛中洛外ともに桜が多く、花の都としても有名です。春には河川の堤や疎水、池の畔、社寺の境内、参道の至るところに桜が美しく咲き誇ります。
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平安神宮 |
京都東山方面第一の名所。一万坪の神宮内にシダレザクラ、ソメイヨシノ、ヤマザクラが咲き乱れます。中でも西神苑の入口にあるベニシダレザクラは美しく、谷崎潤一郎の『細雪』にも登場します。
京都市動物園 |
白川の旧水路を利用した動物園周辺の疎水の桜も見事です。花園左大臣や藤原定家の歌も残っており、桜の名所としては最も古い場所です。
蹴上インクライン |
三条通りの蹴上に設けられた荷物運搬用の軌道。現在は使われていませんが、600mにおよぶ坂道の桜並木が見事で、管理の行き届いた染井吉野や山桜の老木が樹勢を誇っています。
哲学の道 |
蹴上からは、若王寺(にゃくおうじ)神社~銀閣寺まで約2キロの疎水端の『哲学の道』があり、4月10日前後には桜のトンネルとなります。さらに銀閣寺の疎水のほとりに『関雪桜』と言われる染井吉野の桜並木が続きます。
祇園新橋 |
祇園町の四条通りの北を流れる『白川』沿いの桜で、枝垂れ桜と柳の色の取り合わせが鮮やかです。平安時代には桜と柳を混ぜて植えるのが主流でした。旧お茶屋街で情緒たっぷりです。
名桜:地主桜(じしゅざくら) |
清水寺境内の地主神社の桜。品種は「御車返し」で、中世室町時代より天下の名花と謳われてきました。近年には、この他に「普賢象(ふげんぞう)」「黄桜」「妹背」など珍種の桜も植林され、毎年4月第3日曜には「良縁さくら祭」が行われています。
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二条城 |
徳川家康によって造営された二条城。京都1200年の歴史の中で唯一の城ですが、元から戦のためよりは豪壮絢爛な美城と庭園が有名で、平野神社に次ぐ桜の種類の多さを誇り、寒緋桜、白妙、芝山、妹背、白雪、簪(かんざし)、佐野桜、関山(せきやま)、戻桜、琴平八重、山桜などが咲きます。
円山公園・京都御苑 |
京都を代表する名桜(栽培種)が多く、お花見の定番コースとなっております。
名桜:円山公園の枝垂れ桜 |
明治になり、それまで祇園祭りを執り行っていた祇園社が八坂神社に名前を変え、その祇園社の境内だったところが、今の円山公園です。『祇園の夜桜』として知られる円山公園の枝垂れ桜(シダレザクラ)は、桜を愛した京都で作られた栽培種です。その樹齢は、明治の時にすでに300年に達し根回りも4メートルに達したとされており、桜としてはかなりの古木、大木で、円山公園の目印になっています。昔から夜目にも美しいのが有名で、現在も美しくライトアップされていて、京都で最も名高い名桜といえましょう。また、最も遅い時期まで楽しめる桜としても有名です。
名桜:京都御苑の三大桜 |
◆左近の桜:平安時代になり、貴族の間で庭に桜を植えるのが流行り始めますが、その代表が京都御所紫宸殿の『左近の桜』といえましょう。これは、もともと大和吉野山の山桜を植えたといわれています。ただし桜はそれほど長寿の木ではなく、火事などもありましたので、その都度、植え変えられています。また、この左近の桜から移植された名桜も京都には多くあります。紫宸殿に向かって右が『左近の桜』で、向かって左が『右近の橘』となります。これは紫宸殿の中から庭を見て左右が決められたからです。桜の木を庭に植えはじめたのは奈良時代からですが、好んで植えられるようになったのは平安時代からだったようです。
◆御車返しの桜(みくるまがえしの桜):一樹に一重(ひとえ)と八重(やえ)の紅の濃い花が入り混じり、毎年、一重と八重の咲く位置も変わるといわれています。昔、ある貴人が御車に乗ってこの桜の前を通りかかった時、そのあまりの美しさと、一重桜なのか八重桜なのかをもう一度確かめようとして、御車を引き返した事からこの名前が付いたと言われています。京都御所の仲立売御門より北の清所門へ廻る西北角に咲いているものが有名で、この場所は菊亭家の屋敷址にあたり、菊亭家の名花とされています。
◆近衛低趾の糸桜:京都御苑の北側、今出川御門を入ってすぐの近衛家邸宅の跡地にある桜。古くから有名な桜で、「春の雨に糸くりかけて庭の面はみだれあひたる花の色かな」、「昔より名には聞けども今日みればむべめかれせぬ糸桜かな」などの歌を残している。現在は児童公園に隣接する庭園に10株ほど咲いています。
名桜:普賢象桜(ふげんぞう) |
千本閻魔堂のものが有名で室町時代にはすでに名桜として世間に広く知られていました。品種はオオシマザクラ系のサトザクラで、30~35枚の花弁をもつ大輪の花。花びらではなく、房ごと散るのでも有名で、白色のほかに紅色のものもあります。花の形を象に乗った普賢菩薩に見立てたのが、名前の由来となっています。
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嵐山 |
本来は紅葉の名所でしたが、建長七年(1255)後嵯峨上皇が嵐山の麓に亀山殿を造営された時に、大和吉野山から多数の山桜を移植され桜の名所となりました。以来、毎年多くの人が訪れるようになり、江戸時代になると市民も競って嵐山での花見を楽しむようになりました。『花の山、二町のぼれば大悲閣』(松尾芭蕉)とあるように、往事は全山、桜に覆われていたようです。今も人気のスポットで、嵐山公園の内外に風情のある茶店、お食事所が多数あります。
仁和寺(にんなじ) |
古来からの桜の名所として有名、世界遺産。境内の桜は遅咲きのサトザクラが多く、その八重の花は『御室の桜』として親しまれています。樹高が2メートル程と桜としては低く、根元から枝が張って花が咲くので『お多福桜』のニックネームもあり、『仁和寺や、足もとよりぞ花の雲』(召波)と詠われています。見頃は4月下旬で、お寺としては珍しく境内での飲酒、食事もできます。
勝持寺(しょうじじ) |
通称『花の寺』と言われる、洛西方面で一番の桜の名所です。大原野神社に近く、厚さ1メートルの茅葺きの庫裡(くり)も見ものです。
名桜:待賢門院桜(たいけんもんいん) |
法金剛院に伝わるヒガンザクラ系のベニシダレザクラの変種。花の色が紫に見えるので「紫の桜」の別名もあります。法金剛院を建立した待賢門院(鳥羽上皇の中宮)にちなんで名が付けられました。
名桜:地蔵院の枝垂れ桜 |
『地蔵院』という名のお寺は全国に万とあり、京都にも何十とありますが、枝垂れ桜で有名なのは、京都府南部、南山城の井出町にある地蔵院です。ここの枝垂れ桜は「円山公園の枝垂れ桜」の兄弟にあたり、永らく観光客の少ない名所となっていましたが、最近のブームにより数多くの人が出かけるようになりました。また地蔵院参道には小野小町(おののこまち)の墓とされる『小町塚』もあります。
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醍醐寺 |
醍醐山の一山全部を境内とする広大な寺院、世界遺産。山の上方と下方で上醍醐と下醍醐と呼ばれ、下醍醐の広い境内一円に桜が咲き誇ります。 慶長三年(1598)、当時の天下人豊臣秀吉が壮大な『醍醐の花見』を行った事で有名で、今も4月第2日曜には太閤花見行列が行われ、桐の幔幕で飾られます。また嵐山、御室(仁和寺)とともに古来からの花見の名所としても有名で、4月初旬からシダレザクラとソメイヨシノが咲きはじめ、中旬にはヤマザクラが満開となります。
名桜:墨染桜 |
昔、深草(ふかくさ)と呼ばれた里にたつ墨染寺(ぼくぜんじ)。薄墨のような花を咲かせるところから墨染桜の名前が生まれ、以来、この土地も「墨染(すみぞめ)」と呼ばれるようになりました。
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平野神社 |
毎年4月10日に行われる『桜祭り』は、花山天皇が寛和元年(985)に始められた京都の主要行事の一つで、他に例を見ない品種の多さを誇っています。江戸時代には御室仁和寺とともに花見の名所として親しまられ、後に夜桜でも「祇園の夜桜」と人気を二分するようになりました。境内にはひとえの枝垂桜の名桜・魁(さきがけ)を始め、手弱女(たおやめ)、寝覚(ねざめ)、虎の尾、松月(しょうげつ)、胡蝶(こちょう)、御衣黄(ぎょいこう)、妹背(いもせ)などが四月上旬に一斉に美しく咲き誇ります。見頃は四月上旬。
常照寺(じょうしょうじ) |
京・島原の名妓、吉野太夫の墓のあるお寺として有名で、参道の桜が『吉野桜』として名所になっています。毎年4月第3日曜には吉野太夫をしのび、往時の装いの島原太夫が練り歩き、茶席が設けられる花供養で賑わいます。また寺の赤門は、吉野太夫の寄進によるものとされています。
松ヶ崎疎水 |
山科から始まり哲学の路や岡崎公園、鴨川沿いを流れる疎水の畔は、すべてが桜の名所となっていますが、その中でも穴場が北大路の北側を平行して流れる松ヶ崎疎水。場所は賀茂川~高野川間で、付近の住人以外の人手も少ないです。疎水の両岸はまったくの住宅街となっており、一度散策すると、此処に住みたくなってきます。
宝ヶ池 |
江戸時代にため池として作られ、戦後、壮大な公園になった宝ヶ池公園。春には一面の桜林を始め四季を通じて静かな散策が楽しめます。隣接にはCO2削減の『京都議定書』の国際会議場があり、国際マラソンの折り返し地点としても有名ですが、意外に観光客などの人出は少なく、穴場と言えましょう。
原谷苑(はらだにえん) |
左大文字の西に戦後より開拓された土地に、一人の篤志家によって育てられた紅枝垂れの森。今でこそ付近には宅地が広がっていますが、本当の自然の中で苦心して生育された、一山すべての紅枝垂れ桜の美しさが人の心を打つ、超穴場と言えましょう。私有地ですので、桜のシーズン時のみ一般公開されています。
名桜:雲珠桜 |
鞍馬寺の寝殿の庭に1本だけ残る平安時代からの名桜。その名は、唐風(からふう)の鞍の装飾金具に描かれた渦模様に似ているからとも、花の散る様が渦を巻いていたからとも言われ、「これやこの音にききつる雲珠桜 鞍馬の山に咲けるなるべし」、「春は往ぬ鞍馬の山のうず桜 水なき空に残る色かな」など数多くの歌を残しています。
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常照皇寺(じょうしょうこうじ) |
『御車返し桜』や『九重桜』が有名な、洛中から遠くはなれた山奥にあるお寺です。花見気分は厳禁で、静寂な態度での参拝を要します。周山街道京北町近く、マイカーでないと不便です。